2025年オーストラリアンオープン。
その大舞台で、ジョコビッチとレヘチカの試合を最前列、ちょうどジョコビッチのベンチ裏から観戦しました。
会場の熱気は想像以上。コートに立つ二人の選手が放つ一球ごとに、観客の歓声とため息が交錯し、まるで会場全体が一つの生き物のように呼吸をしているようでした。レヘチカも持ち前の力強いプレーで食らいついていましたが、やはり勝負どころでの冷静さと経験の差が光り、試合はジョコビッチが制しました。
ところが、試合後に行われるはずのオンコートインタビュー。
観客が固唾を飲んで待つ中で、ジョコビッチはまさかのインタビュー辞退。会場には一瞬、戸惑いの空気が広がりました。
しかし、物語はここで終わりません。
ジョコビッチが退場する直前、偶然にも私の座っていた場所のすぐ前に歩み寄ってきたのです。観客たちがざわめき、スマートフォンを構える中で、私は思い切って手に持っていた黒い帽子を差し出し、ジョコビッチ!と呼んで、サインプリーズと声をかけました。
そして信じられないことに、ジョコビッチはその帽子を受け取り、見慣れたサインを書き込んでくれたのです。ほんの数秒の出来事でしたが、憧れのジョコビッチに声をかけ、ジョコビッチがこちらを振り向き、私が差し出したボールを受け取り、そこにサインをして、私に差し出した、その一連の瞬間は、私にとって永遠の記憶となりました。世界トップの憧れのジョコビッチが、勝利の余韻の中でファンの一人に残してくれた小さな心遣い。そのサインは、単なる記念品以上の価値を持つ宝物になりました。
試合そのものの興奮と、最後の思いがけない幸運。
この日の出来事は、間違いなく私のテニス観戦人生の中で最も特別な瞬間の一つになりました。










